2013年12月17日火曜日

叉焼

「チャーシュー」もしくは焼豚(やきぶた)ともいわれるが、厳密にはこの両者は異なる。調理方法は複数ある。保存食的な意味合いも兼ね備えた料理である。語源は中国語の叉焼肉(チャーシューロウ 串焼き肉の意)。

[概要]
焼き豚は、皮つきの豚のバラ肉に塩と五香粉などスパイスを塗布し、炉で茶色に焼いたもの。チャーシューはバラ肉かモモ肉のブロックに紅糟(ホンサオ。紅麹で発酵させた米)、もしくは略式に食紅と蜂蜜などを塗って、数時間炙り焼いたもので、縁が紅色。いずれも鉤に吊し、またはクシ(叉)などに刺し、専用の炉の中で吊して焼くことで、効率よく、安定した焼き方をすることができるようになった。広東料理では味も蜂蜜の代わりの麦芽糖やコーンシロップを塗って焼いた「蜜汁叉焼」が主流で、比較的甘い。
香港や広州には、店先に焼いた叉焼を吊るしている「燒臘店」(シウラプディム)と呼ばれる、叉焼やローストダックなどの焼き物専門店が多くある。家に買って帰ることのできる総菜店として、また叉焼飯などの定食も食べられ、ひとりでも気軽に入れる食堂として人気がある。広東料理では、チャーシューを食材として用いた饅頭や腸粉などの点心も作られている。
日本では薄くスライスして食される場合が多い。また、家庭で作る事は少なく、小売店で購入したり、外食店で食べる事が多い。
家庭では、ラーメンの具や飯のおかずや、酒の肴とする事が多く、日本の中華料理では、ラーメンの他に炒飯、冷やし中華などの料理の材料としても使用されるケースがある(ハムが使用される場合もある)。特にラーメンの具として欠かせないものとなっている。
チャーシューは日本の多くのラーメン店において、必須の具材であり、他店との差別化を打ちだす経営上重要なポイントである。ラーメン店の多くは焼き豚専用の炉がないため、鍋の醤油で肉を煮て作る、中国で「醤肉(ジャンロウ)」と呼ぶ「煮豚」が、具として多用されている。直火焼きしたりフライパンで焼いて作る方法もあり、トロリとして柔らかく、ラーメンに良く合い日持ちをさせやすく、廃棄ロスを回避できる、安価なバラ肉を使用できる、煮汁を出汁やタレに流用できるなどの点も、ラーメンの具に好んで用いられる理由の一つとなっている。
日本国内において、ラーメンの具材として使用される又焼代わりの肉を「チャーシュー」と俗称する場合もある。
他に「中華まん」等にも使用される。

2013年12月14日土曜日

エビのチリソース

エビのチリソースは、エビを辛い味付けで炒めた料理。
エビチリという略称で呼ばれることも多い。

[概要]
現在知られているポピュラーなレシピは中華料理人陳建民が日本で中華料理店を営むにあたり、「乾焼蝦仁」(カンシャオシャーレン)をアレンジしたレシピが広まったものである。 当時は日本人が豆板醤の辛味に慣れていなかったことからケチャップ、スープと卵黄を用いて辛味を抑え、また調理法そのものを簡易化し今のエビチリが作られた。 このレシピが完成するまでは、生のトマトを刻んで入れたりするなどの試行錯誤があり、現在のエビチリは陳建民が晩年で完成させたものであると、陳建一は語っている。

[現状]
ケチャップやスープの素の利用により、家庭でも作ることが容易になり、辛さが抑えられた事もあって、日本の大衆に受け入れられ、中華料理ブームに乗った食品会社の宣伝も手伝って一気に普及した。今日では代表的な中華料理の一つとして広く親しまれている。

2013年12月10日火曜日

担担麺

担担麺(たんたんめん)は、中国四川省発祥の辛みを利かせた挽肉やザーサイの細切りなどをのせた麺料理である。香港または日本の麺料理の一種としても定着しているが、各地でアレンジされ、風味などが異なる。

[名称]
「担担」または「担担兒」は成都方言で天秤棒を意味し、元来、天秤棒に道具をぶら提げ、担いで売り歩いた麺料理のためにこの名が付いた。
本来の漢字で書くと「擔擔麪」である。「担」は「擔」の、「麵」は「麪」の発音を示す部品を取り替えて生まれた俗字である。「麺」は「麵」の偏を崩している。簡体字では「担担面」と書くが、「面」は「麵」の偏を取ってしまった字である。なお、「担」および「麺」が常用漢字であり、一般に使われている。

日本語では「担担麺」と書くのが最も一般的だが、日本の繰り返し符号を使って「担々麺」と書く事も多い。日本では、店のメニューに「坦坦麺」もしくは「坦々麺」と書いてある例も少なくないが、これは日本語入力の際の漢字変換辞書に「担担麺」が登録されておらず、「平坦な」という意味の「坦坦」、「坦々」が呼び出されたのに気づかずに確定してしまったことによる誤記と考えられる。中国や香港で「坦」の字は使われない。

[中国の担担麺]
中国四川省では、一般に日本で俗に言う「汁なし担担麺」が食べられている。もともと、天秤棒を担いで売り歩いていた料理であり、スープを大量に持ち歩くのは困難であったことから、「汁なし」が原型である。日本の汁椀からご飯茶碗程度の小さな碗に入れて売られる事が多く、一杯あたりの量は少ない。小腹が空いたときに食べる中国式ファーストフードの一種と考えられている。麺は一般的にストレートの細麺で、鹹水は使わないので色は白い。
四川風の花椒とラー油の風味を利かせた醤油系の少なめのたれにゆで麺を入れ、豚肉のそぼろとネギ、ザーサイなどを載せたスタイルのものが一般的である。そぼろは、豚肉を中華包丁でみじん切りにし、ラードを入れた中華鍋で、料理酒、甜麺醤、塩、醤油を加えてぱらぱらになるまで炒める。
味付けは、ラー油、花椒(山椒の同属異種)の粉または花椒油、醤油がベースで、少量の酢、塩などを合わせる。豆板醤や芝麻醤が使われることもあるが少ない。この辛い液が入った碗に、ゆでた麺を入れてから、具を載せる。具は一般的に豚肉のそぼろで、薬味には刻みネギ、もやし、刻んだ「川冬菜」という菜の漬物、エンドウの芽、煎りゴマ、刻んだピーナッツ、揚げた大豆などが添えられる。混ぜてから食べる。
近年は中国各地の四川料理店や専門店で食べられるが、上海など、辛いものを食べ慣れていない地域では、辛さを控えて出す例がある。また、スープが十分に入ったものは、後述のように日本においてアレンジされて普及した担担麺であるが、現在では中国大陸の四川料理店でも、スープのある汁麺を用意しているところも増えつつある。
担担麺と称しないが風味や具が似た麺料理として、四川省成都市崇州市羊馬鎮の「査渣麺」、四川省成都市の「甜水麺」、貴州省貴陽市の「康家脆臊麺」などがある。また、台湾台南市の「担仔麺」は天秤棒で担いで売り歩いた麺料理という点で共通する。

[日本の担担麺]
日本の担担麺は、麻婆豆腐と同様に、四川省出身の料理人陳建民が日本人向けに改良した作り方を紹介して広まったと言われる。
一般に中国のものと比べて直径で1.5倍以上、場合によっては3倍ほどの碗で出され、日本のラーメンのように一杯で一食が事足りるようになっている。そして、辛さをおさえるためにラー油と芝麻醤の風味を効かせたスープを合わせ、汁麺として出されることが多い。汁の味や辛さは中国のものよりも薄く、飲める程度になっている。麺は店によって異なるが、一般的に中国のものよりも少し太く、鹹水を使った中華麺がほとんどである点も異なる。太麺になると、スープにからみにくくなることもあり、一部の店では、縮れ麺を使用し、スープとからませるようにさせている。日本では、担担麺の定義が決められていないため、店によってまちまちの味付けと具材になっており、たとえば肉のそぼろは挽肉を用いるのが普通で、豚肉ではなく牛肉、合い挽き肉、鶏肉のものだったり、チャーシューや煮豚などを載せたりと店によって様々である。また、チンゲンサイ、ホウレンソウ、サヤエンドウ、モヤシなどの野菜が少し添えられたり、みじん切りのニンジンなどがそぼろに加えられたりする場合もある。薬味は刻みネギや唐辛子の細切りなどが多い。
また近年、一部の日本国内の料理人が、次項のような香港の担担麺をまねた味を出す店もあり、干し海老の味がするものもある。また、千葉県勝浦市には、ラー油ベースの激辛スープを使った勝浦式タンタンメンが存在し、神奈川県川崎市周辺には元祖ニュータンタンメン本舗の出す辛い汁に溶き卵を絡めたものがあり、広島県広島市周辺では担担麺は汁なしが基本で、専門店が多くあり最後にご飯を入れるといった独特の食べ方、黒ごまやうどんを使ったものを出す店もあるなど、地域や店舗独特の風味のものもある。

[香港の担担麺]
香港の担担麺(「擔擔麵」、「擔擔麪」)は、広東語の発音でタームタームミと呼ばれることが多いが、一般的に四川のものと日本のものの中間のようなものが多い。量も汁も中間程度である。一般に辛さは日本の担担麺と同程度の店が多い。具は、豚の挽肉が多いが、干し海老を加えている店も少なくない。薬味には刻みネギ、もやし、ピーナッツ、炒りゴマなどが用いられる。腰の強い広東麺ではなく、少し鹹水を入れたストレートの細麺が多い。上海でも比較的香港のものに近いものを出す店もある。
香港式担担麺の有名店として、詠藜園があるが、辛さを控えて「花生醬」と呼ばれるピーナッツペーストの風味を効かせた「改良擔擔麪」と称するタイプの人気が高い。



2013年12月8日日曜日

杏仁豆腐

杏仁豆腐(あんにんどうふ、きょうにんどうふ、シンレンドウフ、Almond Pudding)は、中国発祥のデザート。「きょうにん」という呼び名がやがて「あんにん」(唐音)にすり替わっていき、現在では「あんにんどうふ」の呼び方が最も一般的である。

[概要]
本来は薬膳料理の一種で、喘息、乾性咳嗽の治療薬であるアンズ類の種の中の「仁(じん)」(杏仁(きょうにん)、中国語では「シンレン」)を粉末にしたもの(杏仁霜)を、苦味を消すために甘くして服用しやすくした料理である。杏仁には薬品用の苦みの強い苦杏仁と食品用の苦みの弱い甜杏仁があり、杏仁豆腐に使用されるのは後者である。

[現状]
日本では完全な嗜好品、デザートとして扱われているため、実際には杏仁を使っていないものが多く、現在日本のスーパーマーケット等で杏仁豆腐として売られているものは、ほとんどが杏仁と似た香りを持つアーモンドエッセンスを用いて作ったものである。しかし、杏仁豆腐にはJAS規格がないため、製造、表示方法に関しては明確に定められておらず、現状では原材料に杏仁が含まれていない商品に「杏仁豆腐」の名称を使っても違反にはならない。また、アーモンドの現代中国語訳が杏仁であるため話がややこしい。実際、殆どの一般的な中国人はここで述べる杏仁ではなくアーモンドを使った豆腐状のデザートだと思っている。
家庭で手作りする場合は、主に牛乳にアーモンドエッセンスもしくはアマレットを加えて作られる。

従来日本で「杏仁豆腐」といえば固めに作ってひし形に切りフルーツと共にシロップに浮かべたフルーツポンチかみつまめに近いものが多かったが、近年は本格的な中華菓子の普及にともない、柔らかめに作ったプリン状のものも見かけられるようになった。

2013年12月6日金曜日

四川料理

四川料理(しせんりょうり、中国語で四川菜、川菜)とは、狭義には、中国四川省の郷土料理である。広義には、もともと四川省の一部であった重慶市はもとより、雲南省、貴州省などの周辺地域をも含めた、共通する特徴をもつ郷土料理の系統を指す。

[特色]
四川料理は、一般には唐辛子や花椒(山椒の同属異種)などの香辛料を効かせる辛い中華料理として知られる。四川省成都を本場とする。中国での一般的な呼称は川菜(チュアンツァイ)。四川料理は中国各地に専門店が存在しており、正真正銘、正統派の四川料理という意味の「正宗川味」という看板をよく見かける。
痺れるような辛さを意味する「麻辣」(マーラー)を味の特徴にしており、中国の他の地方の料理に比べて香辛料を多用する。これは四川省や重慶市の湿度が高く夏と冬の寒暖の差の大きい気候が関係しているとされる。 これとは逆に、宴会料理では、砂糖を大量に使った極端に甘い料理や箸休めが出されることもある。内陸という地域性を反映して海産品を食材として使うことは少なく、野菜、鳥獣肉、穀類を主体としているが、近年は冷凍食品も普及していることから、海産食材も取り入れられている。
辛い料理が多い理由は、四川の成都は盆地で湿気が多く、唐辛子に含まれるカプサイシンの効果によって発汗を促すことで健康を保つためだという説がある。スパイスを多く使うインド料理やタイ料理と同様、高温多湿の地域ならではの食の工夫がみられる。

他の調味料では、ソラマメの加工品である豆板醤(トウバンジャン)、黒大豆の加工品である豆豉(トウチ)、米を発酵させた酒醸(ジュウニヤン)などが特徴的に用いられる。

[代表料理]
麻婆豆腐、担担麺、回鍋肉、青椒肉絲、麻婆茄子、棒棒鶏

乾焼蝦仁(こちらはエビのチリソース(エビチリ)として有名)などが挙げられる

2013年12月2日月曜日

酢豚

酢豚(すぶた)とは、下味をつけた角切りの豚肉を用い、衣をつけて油で揚げ、甘酢あんをからませた中華料理である。広東料理店が多い欧米でも人気が高い料理である。長崎では酢排骨(スーパイコ)とも呼ばれる(九州他県の一部の中華料理店でもスーパイコと表記されていることもある)。
中国の上海方面では糖醋肉(タンツウロウ)、広東方面では古老肉(クーラオロウ)と呼ばれる料理が日本に伝わる際にアレンジされ名前も酢豚となったとされる。
現在では、古老肉は具に野菜や果物を含めた彩りよくフルーティーな味(ケチャップを使用する場合が多い)のもの、糖醋肉は、豚肉のみ、もしくは他の具は少なめで酢と砂糖と醤油を使う比較的シンプルなものを指す場合が多い。そのため、咕老肉は脂身の多い肉を使うのに対し、糖醋肉は赤身の肉を使う場合が多い 糖醋肉は昔からの伝統的な肉料理であるのに対し、古老肉はその名前の由来になった作り方からは完全にかけ離れてしまっているが、そのぶん欧米の影響も受けて現代風にアレンジされ発展したものという考え方もできる。

[酢鶏]
豚肉の唐揚げの代わりに鶏の唐揚げを用いた「酢鶏(すどり)」という料理も、日本各地の食堂などで作られている。

[黒酢酢豚]

最近では黒酢を使用した酢豚もある。これは野菜と共に加熱すると苦味が出るという黒酢の特性から、豚肉のみを使用する。中国江蘇省の無錫排骨からヒントを得て作られた。 酢豚としての厳密な定義は「豚肉に下味を付けて揚げた物に糖醋(タンツウ)を絡ませたもの」なので、野菜が入っていなくても酢豚と呼ぶ。

[パイナップル]
パイナップルは、古老肉や糖醋肉でも使用していないが、清の時代に欧米人の住んでいた地区のレストランで、高級感を演出するために使われるようになった(その当時、パイナップルはまだ珍しく高価な食材であった)。

2013年11月28日木曜日

紹興酒

紹興酒(しょうこうしゅ)とは中華人民共和国浙江省紹興市付近で製造させる代表的な黄酒(ホアンチュウ)すなわち醸造酒のこと。
アルコール度数は14~18度。飲用にしたり調味料として用いたりする。紹興酒には製法の違いによって、元紅酒、加飯酒、善醸酒、香雪酒の4種類があり、この順にドライである(つまりブドウ糖が少ない)。日本でよく飲まれるのは加飯酒。

黄酒を長期熟成させたものを老酒(ラオチュウ)と呼ぶ(中国本土以外の台湾・日本で作られたものも老酒と言うことがある)。

[原料]
糯米(もちごめ)、麦麹、酒薬、鑑湖の水、漿水、焦糖色(カラメル)など

[飲み方]
中国でもっとも一般的な飲み方が、常温で飲むストレート。
油料理にも負けない芳醇な香りとまろやかな味わいが口中に広がり、紹興酒そのものの旨味を感じることができる。
夏などはロックや、冷やしてストレートで涼しく飲むのもお勧め。
日本酒と同じように35~45°にお燗して飲む方法もありる。
中国には無い日本独特の飲み方だが、日本ではこの飲み方が多い。
また、レモンを少量絞ったりして焼酎のように一味加えて飲むこともある。
温めることで、湯気と一緒に紹興酒の芳醇な香りをより一層楽しむことができる。
寒い冬や温まりたいときにお勧め。
紹興酒の独特な香りや味に慣れていない初心者の方は最初はソーダ割りで飲むという方が多い。
ソーダ割りにすることで、紹興酒の酸味がソーダの炭酸ですっきりとした味わいに変えてくれる。
紹興酒を飲んだことのない方や、少し変わった飲み方をしたい方におすすめ。


[豆知識]
日本では、紹興酒に角砂糖等の糖類を入れる飲み方が浸透している。これは最近まで質のよい紹興酒が日本に輸入されず、糖類で誤魔化して飲んでいたことが発端であるとまことしやかに言われているが、日本だけでなく江南地方で一般的に飲用される方法なので、この地方の飲み方が伝わった可能性が高い。話梅と呼ばれる甘い干し梅を砂糖の代わりに入れる飲み方もある。




2013年11月27日水曜日

空心菜

空心菜(クウシンサイ)とは、ヒルガオ科サツマイモ属の野菜。
茎が空洞になっており、中国語では空心菜(コンシンツァイ)や通菜(トンツァイ)とも呼ばれる。
日本でも中国語のまま音読みして「クウシンサイ」と呼ばれることもあるが、見た目が筒のようになっていることから「筒菜」(ツツナ)とも呼ばれる。

[食材の特徴]

シャキシャキした食感が特徴なので、強火でさっと炒められる料理などに適する。
βカロチン、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウムなどが豊富に含まれているので、栄養価が高い緑黄色野菜として知られる。
特にエネルギーの代謝を高める成分が多くあるため、夏を乗り切りたいときなどに最適。

[空心菜を使った料理]

茎や葉を炒め物や中華のおひたしにすることが多い。
三里舞味では、ニンニクやキノコ、エビなどと合わせた炒めものを出している。