2014年5月16日金曜日

オイスターソース

オイスターソースは広東料理でよく使われるカキを主原料とする調味料のひとつ。
日本語では牡蠣油ともいう。

[概要]
カキを塩茹でした際にでる煮汁を加熱濃縮し、小麦粉、デンプンで濃度を調整し、砂糖、うま味調味料などを加えて調味し、アミノカラメルで色を調整したもの。メーカーによって、風味や粘度にかなりの違いがある。
独特の風味とアミノ酸、核酸のうま味、コクを持ち、広東料理をはじめとする中華料理に広く用いられる。炒め物、煮込み料理などによく用いられる。冷凍食品、レトルト食品、インスタント麺など、中華風の加工食品や合わせ調味料にも利用が広まっている。
精進料理が普及している台湾では、カキの代わりにシイタケを用いて製造した、精進オイスターソースというものがある。

[歴史]
中国広東省などには、カキを塩茹でしてから日干しした、「蠔豉(繁体字)/蚝豉(簡体字)(ハオチー)、広東語 ホウシー」という調味料がある。
1888年に、中国広東省香山南水郷の李錦裳は、「蠔豉」を作る際の「蠔水」と呼ばれる煮汁にうま味が多く含まれていることに着目して、これを濃縮し、砂糖などで味を調整して、濃厚な液体調味料を作る方法を発明したとされる。
1902年に、南水の工場が村の火事で延焼したのを機に、李錦裳がマカオに渡り、製造販売店を設立、現在の李錦記の元となり、マカオでの普及が始まった。
1932年には香港に李錦記が支店を設立し、香港での本格普及につながった。
現在では、李錦記以外のメーカーも増え、李錦記もタイラギの貝柱を加えた製品など、いくつかのグレードの商品を揃え、香港工場をはじめ中国広東省江門市新会区の主力工場のほか、マレーシアなどにも工場をもち、世界各国で販売されている。逆に都市化が進んだマカオでは製造が衰退し、2012年現在、1902年創業の榮甡蠔油荘がカキのゆで汁を輸入して製造しているだけとなった。

[利用]
広東料理の調味料として、ゆで野菜や炒め野菜にかける、焼きそばやゆで麺に和える、煮物やスープの汁やでん粉を加えた餡に加える、などの用い方をする。
広東省ではスナック菓子の調味にも使われることもあり、ポテトチップやバンサーなどで商品化されている。
他に、タイ料理、ベトナム料理、カンボジア料理などでも野菜の炒め物、豆腐の煮物などにも利用されている。タイ語では「ソス・ホイナンロム」といい、タイ国産品もあり、潮州料理の影響を受けたタイ料理などに利用が広がっている。


2014年5月3日土曜日

XO醤

XO醤(えっくすおーじゃん)は1980年代後半に香港で考案された味噌風のあわせ調味料である。

[概要]
XOとはブランデーの最高級を意味するエクストラオールド(eXtra Old)からとられた。あくまでも高級感を持つ修飾語であって、実際には古く熟成させる工程はない。中国語の「醤(ジャン)」はペースト状の調味料のことで、中華にはさまざまな醤が考案されているが、中でもXO醤は「最高の調味料」と称されている。
上記から、各種素材をブランデーにて加工した醤との誤解もある(但し、風味づけとしてブランデーを使用している製造元もある)。 他の醤と異なり、乾物を主原料とするXO醤は、香港や台湾では調味料としてだけでなく、高級な酒の肴や箸休めとしても食され、レストランでも単品メニューとして載せている場合がある。また、高級レストランの中には自慢の自家製XO醤を瓶詰めにし、販売をする例もある。
XO醤は各レストランや店舗によって材料・作り方に大きく差があり、またそれぞれそのレシピを秘密にしていることが多い。
人気の高さに目をつけた、香港や台湾の調味料メーカーも製造販売を始め、ついで、中国本土でも製造がはじまり、家庭にまで普及した。日本で一般的に購入できるXO醤は本場香港の高級品と比べ格段に味が落ちる。これは一般家庭でも気軽に購入出来るように材料費が抑えられ、食材の質や比率が異なるためである。

[開発の経緯]
1980年代の中華料理界では、「新派」と呼ばれる諸外国の要素を取り入れた新しい分野が確立されていた。その中で香港・ペニンシュラホテルの広東料理レストラン「嘉麟楼」の料理長だった許成が高級食材をふんだんに使い、単なる調味料を越えた新しい調味料を開発。それがXO醤である。XO醤は新しいもの好きな香港人の心をとらえ、その名に恥じぬ味も相まって瞬く間に大流行。今日では世界各地に広まっている。なお、日本でXO醤を広めたのは周富徳という俗説がある。

[代表的な材料]
干しエビ、干し貝柱、金華ハム、生姜、唐辛子、ニンニク、植物油など

2014年4月30日水曜日

愛玉ゼリー

アイギョクシ(愛玉子)はクワ科イチジク属のつる性植物。その果実から作られるゼリーのデザートを愛玉ゼリー台湾語でオーギョーチという。
愛玉子という名の由来は、台湾通史の「農業志」に記載があり、実を水の中で揉みだすと固まる性質を発見した人が愛娘の名「愛玉」にちなんでつけたものとされている。

[概要]
愛玉子は植物の中でもとりわけペクチンの含有量が多いため、寒天などのように加熱することなく固まる珍しい特質がある。乾燥したひとつかみの種子を布袋に入れて水の中で10分程度揉んでいると、果実をくるむペクチン質の部分が溶け出て水を吸ったゲル状に膨潤し、弾力性が出てくる。それを2時間ほど放置すれば常温で寒天状の愛玉子ゼリー(オーギョーチ)ができる。用いる水に適度のカルシウムが含まれていなければ凝固しないため、蒸留水や軟水では作れない。また油分によっても凝固が妨げられる。通常は氷水や冷蔵庫で冷やして食べる。愛玉子ゼリーそのものには際立った味や強い甘みがなく、一般的にはレモンシロップなど甘みのあるシロップをかけて提供される。台湾の夏の風物詩で、屋台やデザート店、レストランなど幅広い場所で食べることが出来る。タピオカティーを販売するドリンクスタンドでは、愛玉子ゼリー入りの飲み物が定番商品として販売されている。

2014年4月29日火曜日

青椒肉絲

青椒肉絲(チンジャオロウスー、主に「チンジャオロース」、Green pepper steak)は、ピーマンと細切りにした肉などを炒めた中華料理である。
発祥の中国においては豚肉を使用するのが標準であり、牛肉を使用した場合「青椒牛肉絲(チンジャオニウロウスー)」、もしくは短縮して「青椒牛肉」、「青椒牛」などと表記する。日本の場合、牛肉を使用していても「青椒肉絲(チンジャオロース)」の名で呼ばれることが多い。

[概要]
「青椒(チンジャオ)」とは辛みを抜いて品種改良した唐辛子(現代ではピーマン、ししとうなど)の緑色の果実を指し、「絲(スー)」とは細切りのことを指す。つまり青椒肉絲とは、ピーマンなどの細切りと肉材の細切りを炒めた料理のことをいう。中国の素朴な作り方では老酒と塩のみを調味料として使用するとされる。
現代の一般的な調理法としては、下味を付けた豚肉ないし牛肉の細切りと、ピーマン、タケノコ、タマネギ、モヤシ、ネギなどの野菜の細切り、調味料には醤油、酒、ショウガ、ニンニク、胡椒、オイスターソース、片栗粉、そして油は胡麻油が使われることが多い。
青椒肉絲の起源は古くから豚肉を調理した福建料理に端を発するともいわれる。四川料理とされることも多いが、現代においては辛みよりも旨みを重視する広東風のものがポピュラーであり、オイスターソース(カキ油)、酒(紹興酒など)、砂糖などを使って甘辛く調味される。一方、四川風のものでは豆板醤や醤油などを使って辛味を効かせて仕上げられる。
中国だけでなく、北米、ヨーロッパ、日本などの華僑により伝えられ世界中でポピュラーな中華料理として定着している。アメリカでは、豚肉よりも牛肉が好まれるため牛肉を調理し濃いめの味付けがされているなど、材料や味付けを変えてその土地の嗜好に合わせた料理に変化している。多くの日本のものはアメリカスタイルの影響を受けているといえる。
なお、中国では、単に「肉」と表記した場合は豚の肉である「豬肉」のことを指し、他の肉の場合にのみ種類がわかるようにすることが多い。

2014年3月31日月曜日

芝麻球

芝麻球(日本語発音:ちーまーちゅう、ちーまーかお)は中華料理の甜点心(甘い点心)、菓子の一種。日本では(揚げ)胡麻団子、ゴマタマとも呼ばれる。中国語では麻球(マーチュウ)、芝麻棗(チーマーザァオ)などの別名もある。
胡麻餡を白玉粉に水と胡麻油を混ぜた生地で包み、まわりに白胡麻または黒胡麻をまぶし揚げて作る。胡麻餡の代わりに小豆の漉し餡を使ったり、蓮の実餡を使うなどのバリエーションもある。また、中に餡を入れず、暖まった空気で中空に膨らませ、大きく揚げるものもある。
マレーシア、インドネシアにはオンデオンデと呼ばれる餅菓子がある。キャッサバともち米を練り合わせた餅皮の中に 、黒砂糖とココナッツなどの餡を入れ、茹でる、揚げるなどの調理をする。餅皮に香り付けと色づけのパンダン(タコノキ科植物の葉)を混ぜたオンデオンデは鮮やかな緑色をしている。外側にはココナッツ・パウダーを塗す。インドネシアでは華僑の持ち込んだ芝麻球も、オンデオンデのバリエーションの一つとして定着している。

2014年3月22日土曜日

ラー油

ラー油(辣油、ラーゆ)とは唐辛子などの香辛料を植物油の中で加熱して辛味成分を抽出した調味料である。「辣」とは熱を伴う辛さのこと。
中国料理・四川料理(特に麻婆豆腐や担担麺など)の調味料、薬味として用いられる。

[中国では]
日本における市販の製品や中華料理店で見られるラー油は油成分のみのものが多いが、中国の食堂やレストランに置かれているラー油は油で熱した際の焦げた唐辛子などの薬味が器の底に沈んだまま提供されている。中国人はその薬味とともにラー油をすくって料理に使用するケースが多い。製法や風味は店舗や地域によって多少異なるが多くの場合日本のボトル詰め製品より香りが強く、また口に入れたとたん噎せ返るほど辛味が強いものもある。

[日本では]
日本では2000年代中盤まで油成分のみのラー油が主流で、単品として販売されるほかチルド食品の餃子にラー油の小袋が添付されるなどの形で見られる。
2000年代以降、辛さは控えめで香味具材(一部地域ではこの香辛料を「すな」と呼ぶ)が入った製品の人気も高まっており、ラー油市場は2004年から2008年の5年間で規模は120%に拡大したとPOSシステムなどから推定される。ブームの発端の一つとして沖縄系ラー油があり、特に有名な「石垣島ラー油」はマスコミで頻繁に取り上げられ他に久米島の素材を使った「くめじまラー油」も存在する[1]。また、2008年には京都府太秦にある中華料理店が販売するラー油が東映京都撮影所での仕事が多い芸能人の紹介によって話題になった。
2009年8月には桃屋が食べるラー油「辛そうで辛くない少し辛いラー油」を発売して品薄状態が長期間続くほどの人気を博し、2010年3月にエスビー食品が対抗商品として「ぶっかけ!おかずラー油チョイ辛」を発売。さらに飲食業界が追従して食べるラー油を加えたアレンジメニューを出すなど、具入りラー油の製造・販売は活性化の傾向を見せている。ただし、具の入ったラー油そのものは上述の通り中国に古くから存在しており、日本では李錦記の「具入り辣油」が以前より輸入されている。なお、すき家では,「食べラー・メンマ牛丼」と言うメニューを販売している。

2014年3月18日火曜日

上海料理

上海料理(しゃんはいりょうり)とは、中国の上海市を中心に食べられている、中華料理の江蘇料理(淮揚料理)の菜系に含まれる代表的な郷土料理の一つ。上海蟹、小籠包、生煎饅頭は日本でもよく知られた代表的料理である。

[概要]
上海では地元の流派の料理という意味で「本幇菜」(ベンバンツァイ、上海語 ベンバンツェ)とも呼ばれる。
上海の周辺に位置する江蘇省や浙江省一帯は、俗に「魚米之郷」と称され、魚介類と農産物が豊富な平野である。上海料理の源流は、江蘇省の蘇州や揚州で食べられている江蘇料理や浙江省の寧波や杭州の浙江料理で、長江の河口に近いという地の利から、18世紀以降、これらの地域から移り住んだ人々によって大都会へと変貌する中で、持ち込まれたふるさとの食文化が融合して形成された。さらに20世紀以降に広まったロシア料理、フランス料理などの西洋料理の手法や調味料をも取り入れて、より豊富なものへと変貌した。
江蘇料理の流れを組んで、酒、酒粕、醤油、黒酢などの醸造品や、砂糖、麦芽糖を多用するため、甘く濃厚な味が特徴。また、寧波料理の海鮮料理や長江、太湖などの淡水産の食材も多用される。

[歴史]
上海料理に大きく影響を与えた地域は時代により色々変わっている。最初に安徽料理があり、次いで寧波(豚油を使う)、揚州(塩味)、蘇州(甘味、醤油、黄酒と黒酢がよく使われる)の料理が現在の上海に最も影響を与え、全体の風味を形成した。19世紀になって、開港され、後に租界が形成されると、西洋料理からも手法や調味料を取り入れ、さらに、中華人民共和国建国後は広東料理、四川料理などからも手法や味を取り入れた。近年は、高級店や若年層を中心に欧州志向が特に強く見られ、それらは「ヌーベルシノワ」(新中華料理)とも呼ばれる。